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すうぷ屋  新宿店
具沢山、食べるすうぷのレストラン【 すうぷ屋新宿店 】WEBサイトが2007年6月、ブログとなってリニューアル!
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文学の中のスープ、映画の中のスープ、泰西名画の中のスープ・・・芸術作品にはスープのシーンが数多く登場します。世界中の人々みんな、スープが大好きなんですね。とりあえず文学の中の選りすぐりのスープシーンを一堂に集めました。
世界各国のスープ、スープの歴史、といった読み物も紹介していけたらなぁ、と思います。「こんな作品にもこんなスープが登場するよ」とご存知の皆さまはどうぞすうぷ屋までメールでお知らせ下さい。紹介者名入りで、当ページに掲載させていただきます。

太宰治『斜陽』より 
朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、
「あ。」
と幽かな叫び声をお挙げになった。
「髪の毛?」
 スウプに何か、イヤなものでも入って ゐたのかしら、と思った。
「いいえ。」
 お母さまは、何事も無かったやうに、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、さうしてお顔を横に向けたまま、またひらりと一さじ、スウプを小さなお唇のあひだに滑り込ませた。
          −−中略−−
 スウプのいただきかたにしても、私たちなら、お皿の上にすこしうつむき、さうしてスプウンを横に持ってスウプを掬ひ、スプウンを横にしたまま口元に運んでいただくのだけれども、お母さまは左手のお指を軽くテーブルの縁にかけて、上体をかがめる事も無く、お顔をしゃんと挙げて、お皿をろくに見もせずスプウンを横にしてさっと掬って、それから、燕のやうに、とでも形容したゐに軽く鮮やかにスプウンをお口と直角になるやうに持ち運んで、スプウンの尖端から、スウプをお唇のあひだに流し込むのである。さうして、無心さうにあちこち傍見などなさりながら、ひらりひらりと、まるで小さな翼のやうにスプウンをあつかひ、スウプを一滴もおこぼしになる事も無いし、吸う音もお皿の音も、ちっともお立てにならぬのだ。
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